こんにちは、スー子です!
コロナウイルスの世界的蔓延で、スウェーデンでも日本でも外出の自粛が始まったり続いていたりと、終わりの見えない息苦しい生活がまだまだ続きますね。
亡くなった方、今まさに苦しんでいる方、またそのご家族のことを思うと胸が詰まります。
世界的にこのような状況だからこそ、普段の何気ない生活や自由さに感謝をせずにはいられない私ですが、先月出版された新刊で興味深いものを見つけました。
その中で紹介されているスウェーデン語の「ラーゴム」という言葉についてご紹介したいと思います。
『幸せに気づく世界のことば』
日本では先月、2020年3月に出版された新刊の『幸せに気づく世界のことば』です。
幸福心理学の研究者であり作家としても活動しているメーガン・C・ヘイズ(Megan C Hayes)の著書です。
ここでは、異なる文化を持つ世界の様々な国の言葉の中から、なかなか他言語には翻訳できない特有な言葉を選び出して、紹介しています。
日本語の「もったいない」や「生きがい」という言葉が近年海外で注目されていて、その翻訳のされ方も話題になっていますが、言葉というのはその国に深く根付いた文化の一つだと思います。
著者ヘイズは、著書で取り上げているそれらの言葉に馴染みのない世界中の読者に、様々な「幸せ」の捉え方やあり方を投げかけており、それぞれの日々の生活へのヒントにしていけるようなきっかけを与えてくれる内容になっています。
冒頭の引用:
”世界にはおよそ200 の国があり、無数のコミュニティで暮らす何十億もの人が数千種類もの言語や方言を話しています。このような世界で人と人とのつながりが強まるにつれて、各地の文化の片隅にひそむ「翻訳できない」言葉の魅力が知られるようになりました。それらの言葉は、その土地に根付く興味深いテーマを見事なほど巧みに表現します。”
スウェーデン語の「ラーゴム」という言葉
「ラーゴム」とは?
この本の中で、スウェーデン語の「ラーゴム(Lagom)」という言葉も紹介されています。
ここでは、ラーゴムという言葉は「まさにぴったり」と訳されていますが、私は「ちょうどいい」という日本語訳の方が合う気がします。
これは消費社会における、「足るを知る」に近い感覚ですが、何事もちょうどよさを大事にするというスウェーデンの文化から生まれた言葉です。
ラーゴムは、どんな事象にも使える表現で、例えばこんな使い方をします。
「今日の気温はラーゴムだね。」
「(レストランでの食事後に)美味しかったね、量もラーゴムだったね。」
「(職場で同僚や上司からの一言)そんなに張り切らなくて大丈夫よ、ラーゴムが一番!」
日本人の感覚から言うと「適当な」「適度な」という意味に近いと思いませんか?
難しく言うと「中庸は美徳」という感じで、日本人にも理解しやすい感覚だと思います。
スウェーデン人と「ラーゴム」
人は、常に幸せを追い求めてしまうため、飽き足らなくなってしまうことに歯止めをかけるのもこのラーゴムという言葉だと思います。
飽くなき欲求に飲まれ、何が幸せなのかを見過ごしたまま突っ走ってしまうよりも、「ちょうどよさ」を意識して、そこに幸せを見出す力を持っているのがスウェーデン人の魅力だと、私はこれまでスウェーデン社会で過ごしてきて感じます。
スウェーデン人は社会の発展、食文化など様々な事柄において「持続可能性」を最も大事にする国民で、このラーゴムという概念も、持続可能な幸せの実現に深く関わる言葉ではないかと思います。
スウェーデンに限らず、北欧諸国が「世界幸福度ランキング」のような統計で上位を占めている背景も、このラーゴムの感覚が大きく関わっていると思います。
最も、「幸福度」とは感じ方次第なところがありますから。
北欧は全体的に、「頑張りすぎず、身の丈を知りながらも、自己実現のためにポジティブにチャレンジをする人を育てる国」というイメージがありますが、この結果として、周りの目を過度に気にしない前向きで自尊心の高い国民が育ち、起業家が多く、自由でイノベーティブな発想を持つ、国にとって経済的にもプラスとなる国民(人材)が輩出されているのではないかと思うのです。
そしてこのような純粋な国民一人ひとりの姿勢は、様々な場において国家への貢献にも繋がるという仕組みができているように見えるのです。
自己実現のためのチャレンジや努力の場合、そこで苦しんだり挫折しても誰かを責めたりひがんだりすることは少ないと思いませんか?ちょっと休憩したり、また頑張ってみればいいのです。
彼らは自分で決めたことに純粋にチャレンジしているだけで、それが見栄や名声のため、また誰かに要求されたりプレッシャーをかけられて行っていることではないからです。
このような文化と教育こそが、物理的な資源の少ない北欧諸国の最大の強みであり、真の魅力ではないかと思います。
目指しませんか?「ラーゴム リュックリグ」
当ブログのタイトルは「Lagom Lyckligt」(ラーゴム リュックリグ)といいますが、まさにこの「ラーゴム(Lagom)」です。
「Lagom Lyckligt」(ラーゴム リュックリグ)≒「ちょうどよい幸せ」
まさに、この本で紹介されているような「幸せの感じ方、捉え方」をテーマにしています ^^
後ろ向きな意味での「足るを知る」という考え方ではなく、物事の捉え方や感じ方を自分自身でコントロールすることができれば、私たちはもっと楽しくて幸せな「良い人生」を送ることができると思いませんか?
そしてそんな個人を応援し育ててくれる社会に日本もなっていけたら、もっと素敵な国になるような気がします ^^
世界にはまだまだ「幸せ」がたくさん
「ラーゴム」以外にも、この本の中では、世界各国の様々な興味深い「幸せ」にまつわる言葉が紹介されています。
以下、この本の目次をご紹介します。
第1章 家と場 Home & Environment
GÖKOTTA イェークータ スウェーデン語
ʻ ĀINA アイナ ハワイ語
〈column〉偉大なる自然 愛の物語
HYGGE ヒュッゲ デンマーク語/ノルウェー語
ПРОСТОР(PROSTOR) プラストル ロシア語
CWTCH クチュ ウェールズ語
TŪRANGAWAEWAE トゥーランガワイワイ マオリ語
WALDEINSAMKEIT ヴァルトアインザームカイト ドイツ語
FRILUFTSLIV フリルフツリヴ ノルウェー語/スウェーデン語
สบาย(SABAI) サバイ タイ語
欢迎(HUĀNYÍNG) ホアンイン 北京語
第2章 コミュニティと人間関係 Community & Relationships
UBUNTU ウブントゥ ングニ・バントゥー語
GUNNEN ヒュネン オランダ語
LIME ライム トリニダード・クレオール語
ASABIYYAH アサビーヤ アラビア語
VERSTEHEN フェルシュテーエン ドイツ語
〈column〉一緒のほうがいい 思いやりと絆について
MELMASTIA メルマスティア パシュトー語
KANYININPA カンインインパ オーストラリア・アボリジニ語(ピントゥピ語)
PAASAM パーサム タミール語
GIGIL ギーギル フィリピン・タガログ語
UNIKKAAQATIGIINNIQ ウニカクラティジニーク イヌイット語(イヌクティトット語)
第3章 人格と心 Character & Soul
SENY セニ カタロニア語
SISU シス フィンランド語
生き甲斐 (IKIGAI) イキガイ 日本語
〈column〉役に立つアドバイス よく生きることに関する幸せの格言
μεράκι (MERAKI) メラキ ギリシャ語
מענטש (MENTSH) メンチュ イディッシュ語
ĀTMAN アートマン サンスクリット語
ARRANGIARSI アランジャルシ イタリア語
養生(YǍNG SHĒNG) ヤンシェン 北京語
FLAITHIÚIL フラフール アイルランド・ゲール語
AHIṂSĀ アヒンサー サンスクリット語
第4章 喜びとスピリチュアリティ Joy & Spirituality
SERENDIPITY セレンディピティ 英語
幽玄(YŪGEN) ユウゲン 日本語
DADIRRI ダディリ オーストラリア・アボリジニ語(ンガンギクルンクル語)
ΚΈΦΙ(KEFI) ケフィ ギリシャ語
WHIMSY ウィムジー 英語
〈column〉うちで食事を 世界各地の食の楽しみ
BON VIVANT ボン・ヴィヴァン フランス語
DUYÊN PHẬN ドゥイエン・ファン ベトナム語
JOIE DE VIVRE ジョワ・ド・ヴィーヴル フランス語
MURĀQABA ムラカバ アラビア語
UKI-OKTON ウーギー・ウアドガン ホデノショニ語(イロコイ語)
第5章 バランスと落ち着き Balance & Calm
LAGOM ラーゴム スウェーデン語
AJURNAMAT アヤーナマット イヌイット語(イヌクティトゥット語)
SÓLARFRÍ ソラーフリ アイスランド語
〈column〉散歩、サウナ、シエスタはいかが? 世界各地のリラックス法
無為(WÚWÉI) ウーウェイ 伝統的な中国語
MAÑANA マニャーナ スペイン語
KEYIF ケイーフ トルコ語
ARBEJDSGLÆDE アーバイツグルー デンマーク語
静寂 (SEIJAKU) セイジャク 日本語
SOBREMESA ソブレメサ スペイン語
COCOG ツォツォグ ジャワ語
いかがでしょうか?興味がある方はぜひ読んでみてください ^^