最終更新日 2017-07-10
こんにちは!スー子です。
スウェーデンに行ったことのある人ならおそらく一度は乗ったことのある、スウェーデンの国営鉄道会社SJが6月、先進的な運賃支払いシステムの運用を始めたのをご存知ですか?
体の中にチップを埋め込んでいる人が利用できるシステムで、まるでSF世界のような光景が今後は世界中で当たり前になる日もそう遠くないかもしれません!
SJ社はスウェーデン中を走っており、長距離利用、短距離利用があります。短距離の場合は、定期券を購入したり日本のスイカ・パスモのようなチャージ式のICカードで支払うのが一般的です。海外でよく見るように、スウェーデンもストックホルムの地下鉄など一部を除いて、電車に乗る際に改札がないことが多く、駅構内や電車内に設置されている読み取り機械に自分でICカードをピピっとあてて乗車します。そして乗車していると車内検札スタッフが巡回してきて、検札スタッフが一人ひとりきちんとICカードが読み込まれているかを確認するのです。私はスウェーデンでバスの学生定期を利用していたのですが、抜き打ちの検札の際にパスポートを保持しておらず、ひと悶着あったのを今でも忘れられません。下手するとタダ乗りができてしまう仕組みな半面、罰金は5-7万円くらいとかなり高くなっています。
改札のないスウェーデンの駅のホーム
近年スウェーデンは、交通機関に限らず、スーパーやキオスクなどでも現金を利用することがほとんどないかなりのカード社会です。単にカード社会というだけでなく、現金が使えないケースが年々増えていて、バスや電車でも現金で支払いができないなんてことは決して珍しくありません。
そんな中で、SJ社は最近スウェーデンで話題の体内埋め込み型のチップBiohacker(バイオハッカー)を使った最新鋭の支払い方法の運用を開始しました。検札スタッフが車内検札時にそのチップを読み込んで運賃支払いをすることが可能だというものです。
体内に埋め込むマイクロチップ「バイオハッカー」とは
SJ社の広報担当によると、現在スウェーデン国内にはこの体内埋め込み型チップを入れている人が約2,000人いて、そのうちおよそ200人程度がSJ社の運賃支払いに体内チップを利用するだろうと見込んでいます。
そもそも埋め込み型チップとは、一体どのようなものでしょうか。
写真のような数ミリ程度のものでカプセル状のものが主流です。そしてこれまでチップを埋め込んだ人の多くが、手の甲の親指と人さし指の間のふっくらした部分に入れ込んでいます。他には同じくふくらしている手のひらの側面に埋め込む人も多いといいます。
このチップの取材をスウェーデンにて行ったBBCの面白いVTRをご紹介します。
VTRによると。バイオハッカーは人々の生活をより簡単にしてくれるツールで日常生活のあらゆる場面で有効的な活用が可能といいます。自宅やオフィスの鍵の代わりに利用できたり、パソコンやスマホと同期させてデータ管理をするなど、仕事でもプライベートでも多岐にわたって便利さを提供してくれるようです。
値段は、メーカーやタイプによって幅がありますがスウェーデンではだいたい1,500kr(=約19,500円)で、二個目以降は割引があるということです。人によっては複数機能をつけるべく、複数個所にチップを埋め込むという、何だか機械人間のような人もいるのです。利用者が増えて、バイオハッカーが市場で広まれば単価は下がると考えられています。
現状は、イベント企画形式でこのバイオハッカーの販売、埋め込みを行っているようです。
かなり痛いという人もいますが、タトゥーが割と一般的なスウェーデンではあまり抵抗がなく、流行るのかもしれないと私は思っています。
情報管理などのネガティブ要素は?
スウェーデンで最初のバイオハッカーを販売したというBioNyfikenという団体のメンバーによると、バイオハッカーは現状ではまだ理解されていない側面が多く、様々な質問を受けているといいます。主に個人情報とチップを体内に埋め込むことに関しての懸念です。
◆個人情報流失のリスク◆
個人情報に関する問い合わせは多く、不安視する人が多いようです。私も勘違いをしそうでしたが、バイオハッカーはそもそもチップ自体に何か機能があるわけではないのです。GPSなどの機能がついていて監視されてしまうのではと心配する人がいてもおかしくないと私は思いましたが、あくまでも受け身型のチップで、チップの中にある特殊なIDを用いて、様々なシステムの運用が可能というものです。変な話、機能と紐づけないチップはただのチップでしかないのです。BioNyfikenのメンバーは、もっとも携帯やクレジットカードを利用している私たちは、バイオハッカーを心配する前にそれらの個人情報の流失を心配したほうがいいといいます。
◆チップを体内に埋め込むリスク◆
体内に埋め込むという行為に対して、日常生活におけるネガティブ要素にも注目が集まっています。BioNyfikenによるとチップを埋め込むことによって身体に害が出るようなケースは現状なく、運動などにも支障がないとしています。また、空港などのセキュリティチェックでも問題ないとしています。少なくとも実際に、欧州、アジア、アメリカの出入国に関しては問題がなかったということです。
スウェーデンは、Global Innovation Index (GII)と言われる世界のイノベーティブランキングでも常に上位に入るイノベーション大国です。イノベーティブなだけに、スマホやハイテク機器の社会への浸透も早く、常に世界から注目されています。
今回のバイオハッカーは様々な分野で話題になりうるスウェーデンらしいニュースだと私は思いました。引き続き今後の動向に注目したいと思います。