【お知らせ】スウェーデン映画イベントと移民問題

Nice-people

こんにちは!スー子です。

難民を題材にしたスウェーデン映画「Nice People」(スウェーデン原題「Trevligt Folk」)が日本のテンプル大学で上映されます。これは「国連UNHCR難民映画祭」の一部のイベントとして行われるもので学生だけでなく、一般の来場もOKとのことなのでご興味がある方はぜひ観に行ってはいかがでしょう。今日は、このイベント詳細と実際私が見てきたスウェーデンの難民事情を併せてお話します。

難民を題材にしたドキュメンタリー映画

以下、テンプルジャパンのプレスリリースです。

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テンプル大学ジャパンキャンパス(東京都港区/学長:ブルース・ストロナク、以下TUJ)は「第12回国連UNHCR難民映画祭2017」に学校パートナーズとして初参加することが決定した。国連UNHCR難民映画祭は映画を通じて難民への理解を深めるもので、学校パートナーズは大学などが独自に手を挙げ、UNHCRが選出する難民を題材とした映画を学内で上映するもの。

難民映画祭の趣旨に賛同したTUJが、日本校35周年記念の一環として10月6日(金)に学校パートナーズとして初の上映会を開催する(上映作品「ナイス・ピープル」、詳細は下記参照)。TUJで学ぶ約60か国出身の学生、教職員はじめ、広く地域の方々にも参加いただける一般公開イベントである。
当日は、UNHCR駐日代表ダーク・ヘベカー氏が開催のご挨拶に駆けつける予定。

◆国連UNHCR難民映画祭 – 学校パートナーズ 上映イベント◆
日時: 2017年10月6日(金)15:00~17:00 (開場14:30)
会場: テンプル大学ジャパンキャンパス麻布校舎1階 学生ラウンジ「The Parliament」(東京都港区南麻布2-8-12)
アクセス: リンク
 ※入場無料(本学学生、教職員、一般来場者)、申込不要
 ※上映作品は日本語・英語字幕つき。なお、イベント進行は英語(日本語通訳なし)。
主催: テンプル大学ジャパンキャンパス
後援: 国連難民高等弁務官(UNHCR)駐日事務所、特定非営利活動法人 国連 UNHCR 協会

◆上映作品:『ナイス・ピープル』◆
・アムステルダム国際ドキュメンタリー映画祭観客賞ノミネート
 内戦を逃れ、スウェーデンの田舎町ボーレンゲで暮らすソマリア難民の若者たち。住民との交流が希薄な中、ある地元の事業家が「バンディ」という伝統的な氷上スポーツのソマリア人チームの結成を思い付く。8ヶ月後に迫る世界選手権を目指して特訓が始まる中、若者たちはやがて祖国での過酷な体験や異国での孤独感について胸の内を明かす。果たして彼らはバンディを通じてスウェーデンに居場所を見つけることができるのか。
【地 域】 ヨーロッパ(スウェーデン)、アフリカ(ソマリア)
【監 督】 カリン・アヴ・クリントベルグ、アンデシュ・ヘルゲソン
【製作国】 スウェーデン
【製作年】 2015年
【上映時間】 96分
【協 力】 駐日スウェーデン大使館、スウェーデン映画祭
【カテゴリー】 ドキュメンタリー
【言語(音声)】 スウェーデン語、ソマリ語、英語
【言語(字幕)】 日本語、英語

予告編⇒ リンク

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スウェーデンと難民

ISやテロ事件が相次ぐ昨今では、スウェーデンの移民問題は日本でも話題になることが多いのですが、その多くがネガティブなことのように感じます。自分を含め日本人は意外と意識しないと思うのですが、移民と難民は少し意味が違うことをご存知でしょうか。移民とは文字通り母国以外に移ってきた人の総称ですが、難民とは、移民の中でも様々な要因でいわば母国にいられなくなったため母国以外の国での生活を余儀なくされた人たちのことです。例えば難民には戦争難民、政治難民などが多いです。一方、例えば経済的な理由(働き口が少ない、賃金が低いなど)で母国以外に住んでいる人々は一般的には移民と呼ばれます。つまり難民も大きい括(くく)りでは移民に含まれているため、一緒くたに扱われることがありますが、移民と言っても実は一人ひとりかなりケースが異なることを忘れてはいけないと私は思います。
スウェーデン人口は10%強が移民で構成されており、その中で難民もとても多く、近年はシリアからの難民が激増しています。スウェーデンはこれまでも難民を多く受け入れてきており、例えば1990年代のボスニア戦争時にはボスニアから、2000年代のイラク戦争前後にはイラクからの難民を受け入れています。私にはたくさんの移民の友人がいますが、彼らと関わる中で、経済的理由で移民してきた人と難民を決して一括りにできないということを本当に思い知らされました。そして自分が当たり前のように受けてきた社会の教育やサービス、安心して生活することのできる環境に心から感謝するようになりました。

なぜ移民は「お荷物」と呼ばれてしまうのか

移民は受け入れられると、その国で「お荷物」扱いを受けることがよくあります。全体的に平等な人権が認められ、市民レベルでも人種差別が世界的にも少ないスウェーデンでさえも、移民政策や移民問題は常に国民の関心を集めていて議論になります。忘れてはいけないのは、スウェーデンに移住して働いている外国人も「移民」です。私も一時的に数年住んでいたころは「移民」でした。私の感覚なので語弊があるかもしれませんが、スウェーデンでは移民には「種別」があるように思います。表向きは平等で差別や偏見はいけないと教育されていて親切に対応する人が多いのですが、ちょっとした時に裏の顔が垣間見られることがよくありました。ちなみに日本人は「移民種別」でもトップクラスの扱いです。スウェーデンには東アジアの顔つきをした養子が多く彼らは「スウェーデン人」として育てられ、社会からもスウェーデン人として見なされていることも、日本人、韓国人、中国人があまり差別を受けない理由かもしれません。スウェーデンの海外からの養子縁組の実態についてはまた別の機会にお話しするとします。

移民でも言葉が話せるかどうかも重要なポイントになりますが、例えばスーパーのレジで私が一人で買い物をしていて差別を感じたことは一度もありません。言葉が理解できて、会話も問題なくできることが大きな理由ですが最初から偏見を持たれていないからです。それがイラク人の友人と一緒にいると、違った印象を受けることが何度かありました。私たちを移民扱いし小ばかにするような、「どうせ言葉ができないでしょう」というような偏見を初めから持っている様子の接客がありました。

一方で、移民の種別はある意味事実に基づいて分けられていると思うところもありました。例えば人の優しさを利用するだけの人、アグレッシブになりやすい民族など、国や民族によって傾向があることは事実だと思います。ただ、この民族性にも理解が必要だと私は思います。ここに、なぜ移民が「お荷物」になってしまうかの大きな理由とその対応策のキーがあると思います。言葉も文化も異なる外国人が、全く別の社会で生きていくことは容易くありません。例えば日本の会社からお給料や支援を貰って海外で仕事をする人だって、その地で苦労や嫌な思いをすることはたくさんありますが、移民、特に難民の苦労はその比ではないのです。望んできているわけでもチョイスができるわけでも将来が見えるわけでもないのですから。そんな彼らに社会になじめるような教育や支援をして、職業につかせることは容易くなく、お金もたくさんかかるのです。私が移民と一緒に学校に通い友人として付き合う中で一つ大きなことが分かりました。それは移民の多くには教育がほとんどないことです。母国で学校に行けておらず、教育を受けていてもおかしなルールを叩き込まれたりひどい体罰を受けるような経験ばかりで、社会や教育に対する考え方が日本人の私やスウェーデン人とはまるで違うのです。彼らの価値観は想像以上に私たちからかけ離れていて、そのことにもちろん彼らは気づいていないのです。自分たちの生まれ育った社会とは別の社会を想像できるほどの教育や教養が備わっていないのです。そんな彼らに信用できる社会を教え、自分たちでまっとうな政治を支えていくことを教えるのはとても忍耐の必要なことなのです。

移民を「財産」にする方法

移民を受け入れることは大変かもしれません。ただ、望んでその国に生まれたわけでもなく、命や人権を奪われる寸前の人たちを「外国人」だから関係ないと言って放っておいていいのでしょうか。私は、イラクで被爆しそのせいで今でも肺に後遺症を抱えた上に片耳が聞こえないイラク人の友人を思うと心が痛みます。彼女はスウェーデンに移住して15年近く経つ今でも、年末に花火が打ち上げられると心臓がバクバクしてパニックになってしまうのです。将来に明るい展望を抱くことは彼女にはとても難しいことです。常に健康問題で壁がいくつも立ちはだかります。

そして移民の中には、戦争や政治による難民であっても母国で優秀な大学教育(医学や薬学、法学など)を受けてきている人もいます。そういう移民は社会への統合も比較的早く、スウェーデン社会に貢献する生活を送っている人がとても多いです。彼らは、他の多くの教育レベルが低い移民のネガティブなイメージに押しつぶされスウェーデン社会では話題に取り上げられることは少ないのがとても残念なことです。世界的に有名なサッカー選手のイブラヒモビッチや、数年前まで国の統合政策大臣や平等政策の大臣を務めたアフリカ出身の移民であるNyamko Sabuniなど活躍する「スウェーデン人」となっている移民が実は一定数いることを忘れてはいけないと思います。もちろん彼らは相当な努力があってそこまで這い上がってきていて、彼らのように頑張ればいいのかもしれませんが、社会の教育と支援がとても重要になると私は思います。

受け入れる国にとって移民問題は必ずしもネガティブなことばかりではありません。移民で活躍している人はたくさんいます。多文化共生を実現することで国力は必ず上がるはずです。もし移民を生まれ変わらせスウェーデン人とは違った経験、視野を持つ「スウェーデン人」に育てることができれば、スウェーデンはグローバル化の中でも生き残れる強い国になること間違いないと私は思います。資源のない国だからこそ、国民に投資して福祉や教育に力を入れるというのはスウェーデンらしい長期的な戦略だと思います。ピンチはチャンスという考え方同様、世界で困っている人に手を差し伸べ、同時に自国の戦力にするという一石二鳥を叶えられるような具体的な対策と国民の理解、教育がもっと進めば、世界から見習われる国際社会のリーダーになる日も近いと私は期待しています。また、日本人として日本も人口減少を考えると他人ごとではないと思います。決して「お人よし」でできることではないですが、賢く人助けをすることはできるのではないか、スウェーデンから学べることは北欧スタイルの家具やインテリア・デザイン以外にもまだまだたくさんあると思いませんか?

スウェーデンや北欧に興味のある方は、一歩踏み込んで社会を覗くきっかけとなる北欧映画祭や今回のテンプル大学のイベントにもぜひ参加してみてください ^^

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